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哥哥の<<日の名残り>>


張國榮が最も好んだ部屋は藍色が美しいノエル・カワード・スイート。

哥哥の<<日の名残り>>

 まさに友人と形容されるような、パイトゥーンのふくよかな顔には、絶えず笑みが湛えられているが、しかし、この時は彼の目に多くの疑問が浮かんでいた。

 彼の仕事には多くの著名人や王族に関係することが多く、ゲストへのプライバシー保護に対して、オリエンタル・ホテルは非常に厳しい要求を持っていることは理解できる。

 私はある友人の名前を彼に告げた。パイトゥーンはその名を聞くやいなや、安心したようだ。「彼はとても良い人で、あなたが彼の友人ならば、同じく良い人でしょう。」この言葉の裏には、一種特別な意味が含まれている。通常だと、彼は見知らぬ人と会ったりなどはしないのだ。

 パイトゥーンの仕事は長年多くの高貴な身分の人と接してきており、人の要望に対して非常に敏感に気を使う。ただ長期に渡る付き合いで彼の信用を得られた人のみが、真の友人とみてもらえるのだ。私が名前を出したその友人は、パイトゥーンが信頼し、そしてその友人はむやみに人を紹介してきたりしないと信じている、この微妙な繋がりが、パイトゥーンの心を開かせ張國榮について語らせ始めた。

 「私が張國榮と知り合ったきっかけは嘉玲です。」

 パイトゥーンはオリエンタルでバンケット部門を束ねて15年になる。60年代香港で広東語映画スターだった嘉玲は引退後、タイの裕福なビジネスマンに嫁ぎ夫についてバンコクへ居を移した。嘉玲が哥哥をホテルのディナーでもてなした際に、二人は知り合った。

 およそ10年ほど前、ある時張國榮がバンコクでオリエンタルに泊まりたいと、嘉玲の娘に部屋の予約を頼んだ。嘉玲の娘は直接パイトゥーンに連絡して手配を頼み、結局パイトゥーンは最高の部屋を準備しただけでなく、哥哥が毎日何を食べたいか、どんな特色のある場所へ行きたいか、全て適切な手配を行った。王室の人々のお世話に慣れている人からこのようにぴったりとした世話をされ、以来哥哥にはパイトゥーンが不可欠な存在となった。

 スーパースターの世話をするのは決して楽な事ではなく、「パイトゥーン、明日はあそこのイタリア料理を食べに行きたい。」と哥哥が言えば、パイトゥーンはすぐに手配する、「予約が非常に難しい場所だとしても、私には手があります。」パイトゥーンはとても謙虚に、しかし自信たっぷりに笑った。

 しかしスーパースターは矛盾する権利を持っている。翌日の朝、哥哥は突然「タイ料理に変更したいな。」あらゆる苦難で手配したことが次の瞬間無駄になる、パイトゥーンは声も変えずにまた手配を行う。スーパースターの世話をするのに一番重要なのは臨機応変に富んでいること、パイトゥーンはそれを熟知している。

 このような変動が何度かあり、ある朝哥哥はまたパイトゥーンに言った「昨日頼んだAレストランの予約を取り消して、今はBレストランに行きたいんだ。」「私は予約してませんよ、あなたが今朝には意見を変えるの分かってましたから。」パイトゥーンは目を細め、哥哥は笑い出した。パイトゥーンは彼のやり方を捉えていた。

 「当初レスリーはホテルに来る時、たいていサングラスや帽子を身につけていましたが、来る度にだんだんリラックスしてきて、何もつけなくなりました。」身に着けるものでの仮面を外させた事は二の次で、もっとも重要なのはパイトゥーンが、人に対する哥哥の警戒心を解いた事。

 「ある時レスリーが私に、パイトゥーン、きみは一度も私に何かして欲しいと言ったことが無いよね、例えば、ホテルのゲストブックにサインするとか。」「もしそうしてもらえるなら、もちろん大歓迎ですよ。」彼はそれでも、哥哥には何も頼まなかった。その時、哥哥は既にパイトゥーンとかなり親しかったが、しかしパイトゥーンは「要求と自発的」の間の学問を理解していて、哥哥への「尊重の境界線」を守った。結局、哥哥は自発的にゲストブックにサインをした。

 「それから、レスリーはバンコクに来る前に、だいたい2週間前には私に電話してきて、時間があるかどうか聞くのです、もし私がパーティの準備で忙しいようなら、日にちを改め、私が時間のある時に来ます。」 実際この時期のパイトゥーンはもう一般客の対応はしておらず、王室バンケット専門に仕事をしていたが、しかし哥哥が電話をしてくれば、とりあえず休暇をとり哥哥につきあう。自ら哥哥のドライバーとなり、一緒に飛行機でチェンマイへ遊びに行った事も。

 「パイトゥーン、なぜぼくに一度も電話をかけてくれないんだ?」哥哥はよく彼にそう尋ねていたが、パイトゥーンはただ笑うだけ、スターでも人との付き合いを心配するのだ、と思った。しかしこの時哥哥は真剣で、「パイトゥーン、もしきみが私に電話はしないというのなら、もう今後絶対にオリエンタルには泊まらない!」張國榮はパイトゥーンを真の友人と見ていたのだ。この時から、パイトゥーンは哥哥に電話するだけでなく、哥哥に会いに香港へ行くこともあった。哥哥はあらかじめパイトゥーンに、空港のどの出口から出るようにと伝え、そこで哥哥の車が彼を出迎え、反対に彼につきあって遊びに出かける。

 張國榮が告別コンサートを開催した時には、パイトゥーンと嘉玲は一緒に香港へ来て、コンサート終了後一緒に哥哥の家の集まりへ出かけた。

 ある年の7月7日、パイトゥーンの誕生日に、哥哥はわざわざバンコクへ来てホテルのスパ・センターの横の小さな建物を借りきり、パイトゥーンの為のサプライズ・パーティを催した。同じように、哥哥の誕生日には、パイトゥーンがホテルの最高級レストラン、ル・ノルマンディーに残る最高で最大のテーブルをお祝いに送った。

 良き友人とは、楽しさを共有できること以外に、時としてより重要なのは、共通の価値観を持っていることである。

 ある時、哥哥はパイトゥーンに、「もし友人が、ハイ・リターンだけどハイ・リスクなビジネス、例えばカジノを経営する等に使いたいので、お金を貸して欲しいと言ってきて、しかもたっぷりの利息をつけると約束したら、きみはお金を貸す?」

 パイトゥーンは十分慎重に考えてから言った。「もし友人が本当に使う為のお金なら、私は貸しますが、しかしその人を儲けさせたいからではない。ただ、もしその人が借りたお金でカジノをするのならば、カジノは間接的に多くの人が落ちぶれさせることになるので、私は貸したくはないです。」

 張國榮はうなずき、「私もきみと同じ考えだ。」この話で、二人の仲は更に深まった。

 「パイトゥーン、私はいつも多くの友人をホテルにつれてくるけど、君は彼らに私と同じように世話をしていて、負担が大きい。君が私の体面を考えてやってくれているのはわかっている。今後は、もし誰かが私の名前を使って君に何かを頼んだとしても、同じような気遣いをする必要はないよ。」哥哥はパイトゥーンにこの思いやりに満ちた話をした。

 パイトゥーンは哥哥に十分な心遣いをしており、哥哥の為にいつも部屋を予約するのはその一つ。

 オリエンタルホテルで最も歴史的価値があって人気の高い部屋は、オーサー・ウィングで、建物の中の何部屋かは、とても特色ある色彩のインテリアのスイートで、どのスイートにもここに来たことのある作家の名前がついていて、一泊900USドル。(右写真:オーサー・ウィング)

 張國榮が最も好んだ部屋はノエル・カワード・スイート(ページ上写真)で、ノーブル・スタイルの青を基調とした部屋。もしこの部屋がふさがっている場合は、となりのサマーセット・モーム・スイートを選ぶ。同じインテリアで、色調は濃いピンク。

 この2部屋以外にも、彼はリバー・ウィングの1012号室も好きで、そこには全面リバー・ビューのテラスがある。

 「彼が最後に来た時は、どの部屋に泊まったのですか?」私はパイトゥーンに尋ねた。

 「あの時は運悪くちょうど、タイ国王への外国客がたくさん泊まっていて、レスリーが住み慣れた部屋は全てふさがっていました。私は何とか考えて、リバー・ウィングの最上階を一部屋、スイート1617号室を押さえました。」パイトゥーンは考えることもせず、全てが頭にあるようだった。「レスリーが到着し、住み慣れた部屋ではないので、当初は機嫌が悪かったのですが、私が彼に、あなたの左隣はイギリスの郡主で、右隣は中東の産油国バーレーンの総理大臣、私はあなたをこれらセレブと同じクラスにグレードアップしてます、それを聞くと彼はすぐ機嫌よくなりました。」

 「レスリーは以前は、すぐにハッピーになるタイプでした。しかし、最後に来た時は、明らかに以前と比べて静かでした。」パイトゥーンも静かになってしまった。

 私は彼に、張國榮が泊まったことのある部屋を見せて欲しい、加えて、ホテルの中で彼の好きな場所で記念に写真を撮りたいと頼んだ。パイトゥーンは鍵を持ってきて、「彼が最後に泊まったあの部屋にはお客様がいます。」

 歩いていきながら、私の泊まっているガーデン・ウィングを過ぎるとパイトゥーンが言った。「彼が別の場所での仕事を終えた後、急にバンコクで一晩泊まることになって、このウィングに泊まったことがあります。あなたの部屋は何号室?」
「352です」
「確か彼が泊まったのはその部屋だったような。」

 果たしてそんな偶然が?!



哥哥の一連の足跡をもう一度


以後、不定期ですが 訳が出来次第みなさまに記事を紹介していきたいと思っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

by Naomi
2004.11.6 up



注意:このページの訳を無断で転載することは堅くお断りします。









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