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| メナム川の洗礼(永遠のボート旅行) 去った者の足跡を見ることの最大の意義は、生きている者がより生命を大切に思うようにさせることだ。 オリエンタル・ホテルを去る前日、この何日もずっと見つめてきた生命の河を旅し、そのパワーを吸収しようと決めた。ホテルは船とガイドを手配してくれ、夜明け前に出発だ。 午前5時半、まだ空は暗い中、ホテルのプライベート・ピアから乗船する。船が出航したとたん、風が吹いてきた。 元々は、海の上の静けさを味わおうと思っていたのだが、しかしガイドは責任感にあふれた調子で、絶えず両岸の説明をしてくれる。 「この高層ビルは今、フィート当り××バーツです。あの病院は最高級クラスの療養院で、一部屋の値段はオリエンタル・ホテルよりまだ高価です。向かいにある最新デザインのフル・ハーバービューの物件は、価格が××で・・・・」 ガイドは歴史に詳しいが、不動産価格にはもっと詳しい。私ははっきり言った。「あなたは物件を買うのがお好きなのでしょうね、かなり儲けたのでしょう?」 彼は、ガイド協会前会長、旅行会社協会顧問、ガイド・トレーニング会秘書室長など、肩書きがずらりと並んだ一枚の名刺をよこし、「私はこの道20年、一筋にやってきました。案内したゲストには、エリザベス・テイラー、ロビン・ウィリアムス、ティム・バートン……」 また一人凄い人が。この河の伝説は正に星の数ほどあるようだ。 空が金色から青色に変わり、4日間のバケーションで一番日差しきらめく日となった。川面も動き始め、托鉢のお坊さん、水浴びする人、荷物運搬用船など、様々な生活の様子を水上にうつしだす。去るものは去り逝き、生きるものは生きてゆく努力を続ける。 ツアー・ボートはバンコクを出て、真っ直ぐ隣県へ向い小さな村へ接岸した。岸辺には出店が豆乳や揚げパンを売り、正にその土地の朝ごはんだ。その先の生花市場を見て回り、帰りに大きなパンを買って来て、河に投げると、数百匹の魚が上がってきて争って食べる。3時間の船旅で、メナム川の生命力を十分に吸収し、充実して戻ってきた。 |

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