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■ THE LEGEND, A TRIBUTE ■



THE LEGEND, A TRIBUTE
(2003年4月12日 1796期「明報周刊」掲載)
文:魏紹恩

07.1.1 ある晩、彼は車で僕を家まで送ってくれた。月高く、風のそよぐ夜更け。
すべてが穏やかで、そして静かだった。
彼は出たばかりの初めてのコンサートのmusic run-downを僕に見せた。
僕は笑いながら、「American Pie」は歌わないのかい?と聞いた。
彼は言葉につまり、少し沈黙した後、まるで目が醒めたように、まだ決めていないと言った。
まだ決めていないって? 私はもう一度繰り返した。
長すぎるんだよ。彼はやさしく答えた。
うむ、君がこの歌を歌うのを、ずいぶん長いこと聞いてないみたいだな。
僕はもう一度考えながら言った。
憶えているの? 彼は、こう尋ねた。
憶えているよ。僕は答えた。
あれが、僕が君を見た初めての時のことだもの。テレビでね。
彼はうなずいた。
もう何年になる?
ずいぶん昔だよ。彼は少し戸惑っているように見えた。
どうやって歌うか知っている? しばらくして彼が尋ねた。
あの頃はよく歌ったよ。
彼は笑って:それなら、いいよ。
僕たちは車を路肩に停めて、A long, long time ago, I can still remember ……..と歌い始めた。

前回、彼をテーマに文字を綴ったのは、そう、91年のことだ。「電影雙週刊」の表紙に合わせたものということで、「23から34の人間伝説 張國榮片段」というタイトルで、僕たちの付き合いを気ままに語ったものだった。あれから、彼について書いたことはなかった。
今日の今日まで。

07.1.2 去年の11月8日。雲門が文化センターで「行草」を演じた。ショーが終わった後、
皆で新兜記へ夜食を食べに行った。あの日、彼は特別に機嫌がよかった。張氏が
機嫌がよいということは必然ではなかった。とくに過去の2年間においては。
あの夜、彼が顔を輝かせて語る様は、彼の友人たちを喜ばせた。徐克(ツイ・ハーク)とは身振り手振りを交えて仕事に関して討論し、林青霞(ブリジット・リン)や施南生(徐克夫人)とは肌のピーリングに関して話していたが、すべては気心の知れた友人同士が、夜食を食べながら話す他愛ないことだった。

夜遅くなって、バトミントンを終えた唐鶴徳が、スポーツウェアのまま車を運転して彼を迎えに来た。
あれ以来、彼には会っていない。

07.1.3 おかしなことだが、唐鶴徳という中国名を、私は随分後になって新聞から知った。それまでの何年もの間、私はずっとDaffy, Daffyと彼を呼んでいた。Daffy。
彼がどのようにDaffyと呼ばれるこの男性とパーティで知り合ったのか、どのように数ヶ月が過ぎても彼を忘れることができなかったのか、どのように再び彼を探し出したのか、どのようにお互い理解しあい、愛し合い、その愛を持続してきたのか…当事者の口から語られる物語は、まるで御伽噺のように美しかった。
唐鶴徳と知り合ったことは、張國榮の一生で最も大きな幸運であった。
張氏は、運命も運も信じなかった。いや、勝気で負けず嫌いの彼は、彼が得たものの全ては、自分が得るべくして得たものであると豪語してさえいた。
たったひとつDaffyを除いては。それは、天が彼に与えた彼を守るための天使であった。明日の命さえ定かでない脚のない小鳥が、人生の危険な渦の中で羽を休めることのできる唯一の場所であった。

唐氏の強さがなければ、唐氏が彼のbeing desired の渇求を満たしてやらなければ、張國榮の物語は違うものになっていただろう。

07.1.4 張國榮の物語は、その四半世紀がステージとスクリーンから構成されている。人前
に立つときは常にオーラを発し、その身のこなしの一つ一つに心血が注がれ、どの角度から見ても非の打ちどころがないほどの完璧さを追求していた。すべては人間伝説のために。

寧采臣、十二少、誰が君に取って代われるというのだろう。何寶榮、程蝶衣、ロングヘアとゴルチェのスーツ、紅いハイヒール、歐陽峰、チンピラ旭仔、過去の楽しい記憶を君と一緒に追いかけよう。

07.1.5 もう一度、彼をテーマに文字を綴るときが、句点のときだとは思いもしなかった。
伝説というのは、ずっと続くものだと思っていた。終わらないものだと思っていた。

07.1.6 あんなにも勝気で負けず嫌いの人間が、あんなにも横暴な結末を選択した。
張國榮は、この人間伝説が彼の私有財産ではないということ、それは多くの人間が心血を注いだ集体的成果であり、大衆が仰ぐaspiring forceであるということがはっきりわかっていなかった。彼には、この伝説にこんなにも横暴な結末を選ぶ権利などなかった。彼には、この伝説に勝手に句点を打ち、それをエイプリルフールの悪い冗談にしてしまう権利などなかった。

彼は、はっきりわかっていなかった。そして、これからわかる術ももうない。


風は吹き続ける。




(訳:小蘭)


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