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鎗 王  ダブルタップ

タイトル 原題 公開年 監督 DVD 日本公開
ダブルタップ 鎗 王 2000 ロー・チーリョン 2002
【STORY】 解説 by まぁむ

銃のパーツが散乱する部屋で、淡々と作業が進められている。

二発の銃弾が、人間の精神を蝕んでゆく。

「俺に銃口を向けるな。」銃の怖さを熟知し、可能性を知っているリック。
ひょんな事から、射撃の競技会に参加をする事に。かつて何度も優勝をし、その名を知られている彼、競技中の事故から一線を退いてひたすら銃の改造を生業としていた。リックの銃は人を選ぶ。

ピンと張り詰めた空気、数知れず薬莢が空を舞う。
誰もが、爆音の虜。一際異才を放つ、二人の好敵手。警察官ミウがその一人。お互いを認め合い、真正面から立ち向かう姿に、友情すら感じる。見事なガンさばきは、良きライバルを得て芸術となる。
いよいよ、同率で決勝戦となった瞬間、彼らの背後で狂人と化した失脚者が銃を振りかざし、失意の底から逃れようと撃たれるのを待っていた。

「are you  ready !」
誘い込んだ言葉を発し、リックの恋人に銃口を向ける。
ミウは撃てない、リックは待てない。 走る弾道、額から飛び散る鮮血。二つの銃弾がリックの銃から走り、呆気なく哀しい終止符を告げる。

改造銃の顧客が生肉に銃弾を打ち込む瞬間を見た時から始まっていたのか。徐々に覚醒してゆく殺戮の快感、リックに訪れた開放と苦悩。序章。


「喜びを感じたんだ。」

恋人コリーンは、リックにしがみつく。


惨劇が、ホテルの一室で行われていた。その手口、その異常性、横たわる骸。
容疑者の割り出しに躍起になるミウ。
ホテルのロビーで平然と警察の労を労い、聞き込みに答えるリック。浮かび上がるのは、ヤン。特殊な手口からリックも引き出された。取調べの妙技に誇張した賞賛をミウに送り、あざ笑う容疑者、リック。
ヤンがすべてを語った。笑わずにはいられない、局面している二人の男。証拠のないまま、リックの拘留期限が切れ、口惜しい警察が暴挙に出た。ジョーの策略で、コリーンを逮捕。でっち上げ、偽装工作である。ことごとく挑発をし、リックに銃を持たせようと合作する、ミウの部下達。リックの憤りが形を変え、変貌に拍車をかけ、最悪の事態を誘引してしまった。
正義を愛していたリックに理不尽な罠をかけた当局の誤算。殺人によって、自分の存在を誇示する事に目覚めた精神の引き金を引いた。

逃げる事が目的ではない、走る、走る、走る。引き付けた警官を射撃場へと誘(いざな)う。無線が通じない。ミウは惨劇を予想し撤退だと訴えるが部下には聞こえない。無防備にすら見える警官達、次々と倒れてゆく。リックが放つ銃弾は確実に追い詰め、とらえて離さない標的を狙う。クロスマークの板切れのように。撃つ姿、敏速、緻密な知能、残虐、すべて自分にもたらされた障害の排除。自分に向けられた弾道を恐れず、ただ平然と、ほくそえみながら去って行った。






あたり一面が朱色に染まった部屋で、3年前の、男の声がこだまする。

            「are you ready ?」

声にならない叫び、声になり嗚咽を生む叫び、全身を震わせ人格が壊れてゆく。
コリーンは耳を塞ぎ、ただそこにうずくまり、成す術を見出せない。
リックは哀しみの中を彷徨い、憎悪に顔を歪ませる。
ヤンにも、制裁を。自ら、ミウに告知、唯一コリーンの釈放に執念を見せる。

薄暗い廃墟、腕に抱けない恋人の誕生日を祝う、錯乱のなかで。

もう一人、リックにとって邪悪な存在、競技会、取り調べ、背後から見下していた、ジョー。即死では飽き足らない憎悪、シューティングゲームの敗北者を見下ろしたリック。

ジョーの死に正気を逸したミウ。「リックと同じになりたいの?」妻の声が届く。

かつては薬莢を大事に拾い上げていた、今、その薬莢の散乱した中に座り込み、殺人鬼リックになってゆく。

ショピングセンターでの引渡しに手間取る警察。映画館への道、可愛がっていたビンセントが阻む、撃ち倒す、何発も、何発も。だが、コリーンに邪魔され、肩口を撃たれたリック。恋人を蹴飛ばして、銃を躍らせ、ミウを待つ。

待ち望んだ「Final Stage」は、死へのレクイエム。

ゲームの終結をスクリーンの前で待ち構える。リックとミウ。眼光の先、お互いの閃光が走る。
一発目の銃弾はすれ違いざま摩擦音をたてお互いの体を貫いた。ミウが放つ第三の銃弾がリックの銃身を貫通し、命の動を制した。リックは、二発目を外したのかもしれない、それ以上は撃たなかった。
精神が魔性から解き放たれた瞬間。
遠のく記憶の中で、自分が一番望んでいた事、愛するものの手によって裁かれる幻影を見ながら、正気に戻ったリックは、安らかに眠りについた。

墓標に花を手向けていたリック、コリーンに向けられた銃口を笑いながら甘んじて目を閉じていたリック、人を撃つ魔力に魅せられ打ち勝てなかったリック。

愛しい女の腕の中に?

彷徨わず、辿り着いたの?

        二つの銃弾は、同じ場所に帰っていったの?


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