| タイトル |
原題 |
公開年 |
監督 |
ビデオ |
日本公開 |
| さらば、わが愛 |
覇王別姫 |
1993 |
チェン・カイコー |
○ |
1994 |
【STORY】 解説 by まぁむ
何故、男の性(さが)に生まれ、男を愛してしまったのか・・・人間としての愛。
母を恨むまい、時代を拒むまい、時を嘆くまい。
たった一つの情が波間に揺れて、思うがままに辿り着くと信じて・・・

寒い朝、母に連れられて、運命の門をくぐった。母との惜別。
清らかな鮮血、流す涙、声にならない悲しみ。幼い心が潰れた。
京劇の世界。
理不尽な厳しさの中、従順に習練を重ね、小さな愛を見つけた。
兄弟子、小頭。心許せる、唯一無二の存在。
やがて、お披露目の日、大人の享楽に性を否定され、精神の境が見えなくなる。
成人したふたり、小頭「段 小樓」、小豆「程 蝶衣」。
花形役者として、もてはやされ生涯の舞台を演じ始める。
「覇王別姫」・・・・・四面楚歌の語源になった楚王と虞姫の悲恋。立ち振る舞い、四肢の所作、目の配り、かもし出す妖艶な色香。すべては、楚王 小樓に捧げる真実の愛が隠されている。
どんな貢物よりも、欲しいものはただ一つ、兄との永遠の舞台。
兄は、世間並みの恋愛を好み、女の思惑通り、楼閣での狂言の末、菊仙を妻に娶る。弟は、今生にただ一筋の生命線を絶たれ、精神世界へと身を崩す。快楽を求める者に身を委ね、覚醒を恐れアヘンを吸い、現世に背を向けてゆく。
兄の婚礼の晩、性の目覚めを見た象徴、刀剣を手に入れ、わずかな望みを抱き、その胸に抱えて現れる。兄は、微塵も思い出さず、一笑し、幸せを誇示する。「この刀があれば、楚王は漢王を殺し、“お前”を妃に迎えたのに。」

蝶衣の悲嘆、壁に掛かるふたりで写した写真が哀しげに見つめている。「これからは、別々に生きよう。」と、自ら別離を言い渡す弟、蝶衣。
日本軍侵略、兄が捕まり、要請で出かけ、舞を舞う。根底にくすぶる兄への思い。売国奴と罵られ、どこまでも報われず、ますます悲しみに身を切る。
変革の波に晒され、時代の流れに翻弄されて生き長らえてみたものは・・・・
若者達の追求に、すべて明らかにされた生き様、お互いの醜悪な言葉が、お互いを追い詰める。菊仙も結局は、愛されてはいなかったのか、悪魔の声に身を任せ、命を絶つ。婚礼衣装に身を包み、紅の記憶の中で・・・・・蝶衣の絶叫が木霊する。
あれから11年、再会。楚王と虞姫。老いても尚、美しく妖しく儚い姿がそこにある。
行き絶え絶えの台詞に、肩を寄せ合って生きていたあの頃を思い出し、微笑む蝶衣。小樓は、道化て見せる。「また間違えたな。」溢れ出る極上の笑み。
これこそが望んでいたもの、小豆と小頭に戻る瞬間に、愛の彷徨が終わりを告げる。
「女ではない
男として生を受けた
・・・・女では、ない」
いにしえの刀剣に身を委ね、成就とともに自らを絶つ。これから先は、必要のない人生。
蝶衣、永遠の虞姫。狂おしく身を焦がす情念が事切れて昇天する、幸福という名の幻影。
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